耐震診断を受けることで耐震工事が必要なのかが分かる

■耐震化工事とは?

建築物を地震があっても崩れにくくする方法を大まかに分類すると、改修と補強のどちらかが挙げられます。これらの方法をまとめて耐震化工事と言うことがありますが、厳密には違う内容なので要注意です。

耐震改修工事は、地震に対して住宅が耐えられるように補強したり改修したりするために行われる工事のことを指します。一般的には倒壊する恐れがある住宅や耐震診断により強度が満たない住宅に対して施工されるものです。耐震性に欠陥があると建築物の全損や一部破損の危険性が高まるので的確に補強することが求められます。

そして耐震改修工事では一般的に色々な工事が施工される訳です。実際には建築物の状態次第ということになりますが、疵が出来ている壁に対しては樹脂などを塗装して補強したり、基礎を改修して補強したり、壁が薄くなっている場所を厚くしたり方法などが一般的な工事の事例になります。

基礎のコンクリートに埋め込まれた鉄筋が細すぎるときや元々鉄筋が埋め込まれていないときには鉄筋を補強したり追加したりするために増打ち工事を施工する建築物も少なくありません。

オフィスビルや商業施設、マンションなど不特定多数の方たち集まる建築物では適切に耐震改修工事を実施することが要求されています。ところが、一戸建ての住宅などを所有している個人にとっても耐震補強は他人事ではありません。

一戸建ての住宅が倒壊することにより第三者の住宅などの財産に損害を与えるリスクがあるだけではなく自分自身の生命や財産を守るためにも大切な役割を担っています。誰にも地震などの災害はいつ発生するのかは予測出来ないので防災としても耐震改修工事が推奨されているのです。

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■耐震改修費用はいくらぐらい?

施工するのに必要となる費用は、鉄筋コンクリートと木造の建築物で多少違ってきます。ちなみに耐震改修費用の一般的な相場は木造の建築物の場合で、およそ150万円から200万円ぐらいで鉄筋コンクリートの建築物の場合1平方メートルあたり、およそ2万円から5万円ぐらいです。

とはいっても対象となる建築物の劣化の度合いや築年数などにより違ってくるので一概にいくらであるとは特定することは出来ません。まずは耐震診断を行い、その結果をベースに見積もりを出してもらうのが良い方法です。

耐震改修工事にかかる費用の負担は決して少なくありませんが、税金を減免する制度や補助金を出す制度を用意している自治体も存在します。少しでも費用の負担を抑えることが可能なため耐震工事を行いたい人は自宅を管轄する自治体に連絡を入れて問い合わせてみるのも良い方法です。

そして、費用については耐震工事をお願いする施工会社によっても違ってくるので、およそ2社から3社ぐらい合見積もりをするのも、おすすめになります。

築年数が多い建築物のときには経年劣化により耐震性能が衰えている可能性が少なくありません。お金はかかってしまいますが災害に遭ったときの危険性を軽減することが出来るのであれば耐震改修工事を行うことを検討する必要があります。心配だという場合は耐震診断を受けて必要ならば耐震改修工事を行うのが良い方法です。

補助金制度について詳しい建設会社もあるので補助金を活用することを検討したい場合は相談するのが良い方法の1つになります。

■耐震診断を受ける必要性とは?

日本は規模の大きな地震に襲われることも少なくありません。世界の国々と比較してみても地震が発生しやすい国であると言えます。代表的な地震の被害として挙げられるのが建築物が倒壊することです。

地震によって建築物が倒壊してしまうのは建築物が劣化していることが原因になっているのはもちろんのこと、耐震性の基準に達していない建築物があるということも原因になっています。耐震診断は建築物にどれぐらいの耐震性があるのかを判定するために実施される訳です。

これまで東日本大震災や阪神淡路大震災で倒壊したり損傷したりといった被害を被った建築物はとても多くありました。特に大きな被害を受けた建築物は、ほとんどが古い耐震基準によって建築されていたことが知られています。

1981年に新しい耐震基準が定められたことによって充分な内容の耐震基準となっていますが、古い耐震基準で建築されている住宅は今でも、とても多いです。危険な地震に弱い状態であったとしても経済的に改善することが出来ない状況の人も少なくありません。

とは言っても普段から暮らしている住宅であれば、なおのこと地震に耐えられる状態なのかどうかを前もって知っておくことは重要です。耐震診断を受けることによって安全性を確保することに繋がります。

地震が発生した場合の災害による損失の指標となる予想最大損失率は、地震の危険性を評価する値です。これは地震で最も大きな被害を被った建築物を、被災を受ける前の状態に戻すために必要となる工事費を新築の建築物を建てる工事費で割ることによって割り出しています。この比率を抑えて高い安全性の建築物であれば資産としての価値も高まる訳です。

最終更新日 2025年4月25日 by matsuu