顧問医の定義と必要性について

顧問医とは、企業と顧問契約を結んで社員の健康管理などを任される立場を指します。
主にストレスチェックで著しいストレス状態だと診断された人や、何か事情があって休職している人などを対象に、面接指導を行うことも多いです。
これによって今後の働き方を決める社員は多く、そうした方向性での強い発言力を持った人だという解釈で問題ないでしょう。

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顧問医になるための明確な資格はない

類似する役職に産業医というものがありますが、こちらと比べると法的な制約も少なく比較的契約をしやすいのが大きなメリットです。
特にストレス社会と呼ばれたりハラスメント関連の問題が取り沙汰される現代では、貴重な人材として需要が高まっていると言えます。
しかし医という文字が付いていると医療行為も行えるのではとイメージしがちですが、実際のところ顧問医になるための明確な資格はありません。
法的にこうでなければいけないという定義もなく、人選が難しい側面も持ち合わせているのです。
その影響か、外部から医師免許を持っているスタッフを招聘して、その人と契約をする企業が最近では増えています。
これに伴い顧問契約の説明を行うセミナーや講師も、徐々に増えていっているという背景があるわけです。

産業医と顧問医の違い

顧問医は法的な制約が少ないと述べましたが、産業医と比較して具体的なポイントを見てみると、まず月1回以上の職場巡視が義務付けられていません。
産業医は必ずこれを行わなければならないため、職場への定期訪問とヒアリングを必然的にお願いすることになります。
また、労働基準監督署への選任届も、出す必要がありません。
産業医ではこれをやっていないと違法になってしまい、気を配らなければいけないことや注意しなければいけないことも増えます。
よって産業医と比べても契約をする心理的ハードルが低く、同時に求められる報酬も少なくて済むことから、安く手軽に職場へ招き入れられるのがメリットになります。

顧問医を導入する必要性

では現実に顧問医を導入する必要性はどれくらいあるのか、この件に関しては非常に高い必要性を有していると言っていいでしょう。
その理由は、社員のメンタルチェックを定期的に行えるからです。
いくら小規模な企業であったとしても、適宜職場の責任者が社員全体のメンタルチェックを行うことはできません。
やせ我慢をしてしまったり本音が言えないことも多いですし、他ならぬ責任者も人間である以上気持ちが参ってしまうことがあります。
そのような際に、第三者目線からアドバイスを送り、解決や改善に導いてくれる存在は大変貴重です。
仮に職場全体でメンタルの不調を抱える人が増えるとどうなるか、現場の士気が下がってしまい生産性も落ち、やがては周囲を巻き込んで不調が伝染していく可能性があります。
しかも不調を抱える人が多いならその職場にも何かしらの問題がある可能性を考慮すべきですが、意外と中にいると判らないことは多く、モラルの観点から冷静な意見をしてもらうことは環境改善に繋がります。
当然、家庭などの個人的な事情の相談についても、定期的な面接が奏功するかもしれません。

顧問医を導入するメリットは高い

誰にも言えないような悩みを抱えている人が職場にいたとして、その影響を仕事に持ち込んでしまうと仕事の回転率が低下します。
孤独を感じやすい社会情勢も相まって、今やこの事態は決して他人事ではありません。
職場全体を俯瞰的に見ながら配慮することは大変難しく、そういった気配りに疲れて責任者が倒れてしまっては本末転倒なのです。
よって機密性の高い悩みやストレスへのケアをする目的で、顧問医を導入するメリットは高いでしょう。
以上のことから、企業内で必要だと感じたらいよいよ契約の手順に進むこととなります。
最も気になるところとしては費用になるでしょうが、そもそも顧問契約とはたまに来て仕事をしてもらうという契約形態になりますので、お給料ではなく報酬を支払うという表現が適切です。
この金額も本人の実績や所有スキルによって様々に変動し、高ければ年間で1000万円以上、安ければ年間200万円以内で契約ができることがあります。

まとめ

ここで重要視したいのが、安いから能力が低いとは限らないという点です。
現場での経験値が浅い場合は比較的報酬の額も安くなるものの、いざ任せてみると驚くほど優秀だったという例も珍しいものではありません。
そもそもある程度社会経験を積んでから転身する人もいるため、実績と実年齢が比例しないことも留意点です。
顧問医の紹介を行っている会社ではこういった部分もしっかり説明してくれますので、自力で契約相手を見つけるのが困難だと感じたら積極的に利用してみることを強くおすすめします。
産業医を含めて、こうした役職の人材はこれからもっと必要とされていくでしょう。
健全で風通しの良い職場にするためにも、この導入は検討の価値があります。
同時にこの道で食べていこうとする人も、今後は増加傾向になるかもしれません。
1人でも多くの優秀な人材が集まれば、日本社会はより良いものへと変化していくはずです。

 

参考文献
従業員50人未満の事業場には顧問医を!

最終更新日 2025年4月25日 by matsuu